呼吸器領域:IgG4関連呼吸器疾患の診断について

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サルコイドーシスとIgG4関連疾患が,似ていることに気づいておられる呼吸器科医は多いのでは ないだろうか.  サルコイドーシスはTh1優位の肉芽腫性疾患であり,IgG4関連疾患はTh2優位の炎症性疾患と いうように,病態も病理像ももちろん大きく異なっている.  しかし呼吸器領域からの視点で両者の疾患を見ると,その類似点が目に付く.1)全身性疾患で ある,2)ステロイド反応性が良好,3)臨床症状に乏しい,4)時に病変の自然消褪がみられる, 5)肺門・縦隔リンパ節腫大の頻度が高い,6)胸郭内では気管支血管束に沿った多様な病変を形成 しうる,等々,両者の疾患は,臨床の表現型が似ている.  IgG4関連疾患は,その存在が知られてから,まだ10年余しか経っていないが,厚生労働省難治性 疾患克服研究事業 研究班(梅原班・岡崎班の合同班)によって,IgG4関連疾患の概念とその包括 診断基準(2011)が提唱されて以降,急速に疾患概念が広まった.包括診断基準(2011)には, 全身の病変に対して詳細な解説が付記されているが,基準そのものは全身の諸臓器病変を包括した 内容であるため,各臓器の診断に際して苦慮する場合がある.また診断ツールである血清IgG4が 保険適応になってから,多くの病態でIgG4が測定されたため,「あれもこれもIgG4かもしれない」, という混乱も生じつつある.  そのため,どのような所見があれば「IgG4関連疾患」を疑い検査を進めていけばよいかという, 各臓器の特異性を考慮した臓器別診断基準の要望が高まってきた.実地臨床に即した診断基準の 必要性が議論され,罹患頻度の高い臓器病変を中心に,すでにいくつかの臓器別診断基準も作成 されている.  IgG4関連呼吸器疾患の場合は,臨床像が類似し,症例数の比較的多いサルコイドーシス等との 鑑別が重要と考えられる.  今回のシンポジウムにおいて,IgG4関連疾患の呼吸器病変とその類似疾患について,サルコイ ドーシス学会員の皆様と意見交換できれば幸甚である.

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