上葉限局型(優位型)肺線維症の病理

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タイトル別名
  • Pathological Aspect of Idiopathic Pulmonary Upper Lobe Fibrosis
  • ジョウ ヨウ ゲンキョクガタ(ユウイガタ)ハイ センイショウ ノ ビョウリ

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抄録

網谷らは1992年,上葉に限局した肺線維症で,結核などの原因の明らかでない13例を,特発性上葉限局型肺線維症(idiopathic pulmonary upper lobe fibrosis: IPUF)として報告した.IPUFは,胸郭は極めて扁平,胸郭外病変はなく,緩徐ではあるが確実に進行し,10–20年の経過で死亡する例が多い.病理学的には,両肺上葉が著しく縮小化し,両側肺門が挙上.線維化病変は,上肺野に限局してみられ,下葉にはほとんど病変は認められない.胸膜の線維性肥厚があり,気腔内を充満する形の線維化が形成され,時間経過した部分では,肺胞が虚脱,肺胞壁は折り畳まれた形となり,弾性線維が一見増加したように観察される.線維化巣と下方の正常肺の境界は明瞭である.近年,idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis(idiopathic PPFE)としてIPUF類似の組織像を呈する上葉優位型の病変が報告され,新しい間質性肺炎の組織学的分類のなかに,rare IIPsの一つとして取り上げられるようで,さらなる知見の蓄積がなされるものと期待したい.

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