汎下垂体機能低下症及び急性呼吸不全を呈した IgG4 関連疾患の一例

  • 森崎 隆史
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設 福岡赤十字 病院呼吸器内科
  • 片平 雄之
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 山本 悠造
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 鈴木 邦裕
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 緒方 彩子
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 濵田 直樹
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 高田 和樹
    九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
  • 小田 義直
    九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
  • 松元 幸一郎
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
  • 中⻄ 洋一
    九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設

説明

症例は 72 歳男性.X-2 年に検診で縦隔リンパ節腫大を指摘された が放置していた.X 年 3 月より咳嗽が出現し近医で CT を施行し たところ,縦隔リンパ節腫大と左肺下葉浸潤影,膵臓のびまん性 腫大を認めた.精査のため 4 月初旬に前医入院となったが,低酸 素血症や意識障害を認め,4 月 18 日に当院転院となった.前医の 所見も含め,血清 IgG4 高値,左肺上葉に対する TBLB でIgG4/IgG 陽性細胞が免疫染色で 85%,強拡大視野に IgG4 陽性形質細胞を 100 個程度認め,IgG4 関連疾患と診断した.意識障害については, 下垂体ホルモンの低下や MRI で下垂体柄の腫大がみられ,IgG4 関連下垂体炎に伴う汎下垂体機能低下症が原因と考えられた.当 院転院後,呼吸状態の悪化及び意識障害の進行を認め,PSL 1mg/kg/日の投与を開始した.その後,速やかに全身状態は改善 し,画像上も肺,縦隔リンパ節,膵臓,下垂体などの病変は縮小 した.現在 PSL 5mg/日の内服にて経過観察中である.IgG4 関連 疾患で肺病変は 27.1%、下垂体病変は 1.7%とする報告がある.両 者の合併例については IgG4 関連下垂体炎の 31 例中 12 例に肺病 変を合併した報告があるが,多くは下垂体機能低下症や尿崩症を 呈しており,本症例の臨床経過はまれと考え,報告する.

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