均衡論について

説明

均衡は哲学的カテゴリーであるから、その内容を普遍的に把握するとともに、真理性の限界を正しく認識せねばならぬ.たとえば、力学的概念を一般化したり、これを絶対化してはならない.あとで述べるように, わたくしは、均衡は、客観的だが、相対的で、物質の弁証法的運動の一契機である.という見方が、基本的に正しいと考える.だが、均衡概念は、しばしば、これとは異った見方によって使われている.たとえば、ワルラス、パレートに始まる一般均衡理論の場合で、わが国においては、中山、東畑、高田氏らによってつとに導入され、経済学の一派を形成しているものである.他方、均衡概念は、かつて、マルクス主義の修正という形で、ボグダーノブ、とくにブハーリンによって援用された.わたくしは、これらの理論における均衡概念を検討し、両理論の連関も考えてみたい.その検討の結果、いずれの均衡論においても、力学的概念の一般化と、絶対化がおこなわれていることが明らかとなり、マッハ主義との結び付きも示されるだろう.さいごに、均衡概念をどのように把握するのが正しいか、について簡単にでも考察してみよう.

収録刊行物

  • 哲学

    哲学 1958 (8), 58-69, 1958-03-31

    日本哲学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680300538752
  • NII論文ID
    130003660828
  • DOI
    10.11439/philosophy1952.1958.58
  • ISSN
    18842380
    03873358
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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