倫理的ジレンマと省察的実践

書誌事項

タイトル別名
  • Ethical dilemmas and reflective practice
  • 省察的実践家入門 倫理的ジレンマと省察的実践
  • セイサツテキ ジッセンカ ニュウモン リンリテキ ジレンマ ト セイサツテキ ジッセン

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説明

本稿の目的は, 省察的実践という概念を, 倫理学の文脈を踏まえて考察することである. そこで, ショーンの「厳密性」と「適切性」という対概念をとりあげる. 「厳密性」とは, 曖昧で不確実な感覚や感情によらず, 理性に基づく客観的な確からしさ (合理性) の要求である. 倫理学的な知の探究もまたそれに応じており, 理論や原理 (厳密性) に合わせるために, しばしば実践的状況 (適切性) を削ぎ落とした. 私たちは実践の場において, 厳密性だけでは解決できない曖昧さや不確実さの中で倫理的ジレンマに出くわす. しかしそれでもなお, 一定の行為や態度を選択せざるをえないという制約が常にある. それは, 一般的あるいは専門的な事実を踏まえて行為や態度を選択するという意味で, 道徳的判断に属する. またそれは, 私とあなたが今ここに共にあるという関係性 (共に決断する勇気) をどのように引き受けるか, という問題を含んでいる. 省察的実践は, 専門職の責任をこれまでとは違った仕方で要請するものになるように思われる.

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