書誌事項
- タイトル別名
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- Study on Comparison of Bidding and Pricing Behavior Distinction between Estimate Methods
- セキサン ホウシキ ノ チガイ ニ ヨル ニュウサツ サンカ ・ カカク ケッテイ コウドウ ノ ヒカク ニ カンスル ケンキュウ
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説明
受注者の利益は落札価格と自社施工価格の差であるが,近年は低入札価格調査基準直上への落札が増えている。そのため官積算である低入札価格調査基準と自社施工価格の差が受注者の利益になる状態が続いている。我が国の官庁契約では発注者が積上げ積算またはユニットプライス型積算で算出した予定価格に対して,応札者が自社のコスト等を見積り,入札価格を決定する。現状のように応札価格が低入札調査基準に集中している建設市場環境では,官積算と応札者の入札価格は不可分の関係にある。本研究は,積上げまたはユニットプライスのいずれかの積算方式によって算出された予定価格のうち,一般土木を対象に入札結果の比較分析を行った。入札値分布を価格決定行動,応札者数を入札参加行動として,積算方式の違いがこれらに及ぼす影響を分析した。入札値分布の比較では,2007年度にユニットプライス型積算に見られた,低価格入札を抑制している可能性が見られなくなった。さらに規模の大きいユニットプライス型積算工事では,積上げ積算に比較してより低入札価格調査基準に集中して応札する割合が高くなる傾向が見られた。一方で入札参加者数はユニットプライス型積算工事の方が有意に多くなる傾向が示された。積上げ積算よりも,価格競争状態の厳しいユニットプライス型積算工事への入札を応札者が選択している様子が明らかになった。積算方式の違いは,建設企業が入札参加/不参加を決める要因として働いている可能性がある。
収録刊行物
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- 土木学会論文集F4(建設マネジメント)
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土木学会論文集F4(建設マネジメント) 67 (4), I_315-I_326, 2011
公益社団法人 土木学会