硫酸キニジンによる馬の心房細動除去試験について

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抄録

恒久性心房細動を示す乗馬1例に心房細動除去のために硫酸キニジンを投与し,投与から細動除去にいたるまでの臨床ならびに心電図における変化を観察し下記の成績を得た。1) 硫酸キニジンは1%水溶液とし,経鼻カテーテルにより投与した。投与量は1回10g,1時間間隔で7回計70gである。2) 硫酸キニジン投与後,17.5時間で洞性調律に復帰した。その後,維持量の持続投与を行わなかったが,約20日間,洞性調律が持続した。3) 硫酸キニジン投与後に著しい変化を示した臨床所見は,心拍数と鼻粘膜腫脹である:心拍数は投与前26/minであったが投与後増加し,投与7時間後には112/minとなり,投与終了後は減少し,洞性調律復帰時は55/minであった。また,経鼻カテーテルを使用した方の鼻粘膜が腫脹し,投与5時間後,この鼻炎症状が著明であったが,投与終了後回復に向った。4) 硫酸キニジン投与後の心電図所見では,投与後2時間頃よりf波のサイクルを減じ,波高大となり,F波に近い形となり,心房粗動像を呈し,17.5時間後にはP波が出現し,洞性調律に復帰した。QRS群の幅は,投与前0.12秒が投与6時間後には0.21秒と延長したが,投与終了とともに若干短縮し,洞性調律復帰時は0.17秒であった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680338885888
  • NII論文ID
    130003822915
  • DOI
    10.11535/jes1961.1965.133
  • ISSN
    18844634
    03685543
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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