【総説-糖質関連酵素化学シンポジウム-】 新規のコンドロイチン硫酸に特異的な加水分解酵素

  • 山田 修平
    北海道大学先端生命科学研究院:名城大学薬学部

書誌事項

タイトル別名
  • [Review: Symposium on Amylases and Related Enzymes] Novel Chondroitin Sulfate-Specific Hydrolases
  • 新規のコンドロイチン硫酸に特異的な加水分解酵素
  • シンキ ノ コンドロイチン リュウサン ニ トクイテキ ナ カスイブンカイ コウソ

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抄録

コンドロイチン硫酸(CS)は,細胞増殖・分化など様々な生命現象に関与する。これまでCSに特異的なエンド型酵素は見つかっておらず,ヒアルロン酸(HA)を分解する酵素であるヒアルロニダーゼが副次的に分解していると考えられてきた。線虫はHAを産生せずコンドロイチン(Chn)のみをもつが,そのゲノムにはヒアルロニダーゼのホモログが存在する。そこで,その組換え体タンパク質を調べ,Chnに特異的な加水分解酵素であることを証明した。ヒトやマウスのヒアルロニダーゼファミリーの中には,対象となる基質が不明であるメンバーが存在する。これらの組換え体タンパク質を調べ,CS特異的なエンド型の加水分解酵素を高等生物で初めて同定した。しかし,両酵素の発現する組織・器官はきわめて限局されており,CSの一般的な代謝に関与するというよりは,むしろ特定の組織での機能に関わっているようである。これら新規の加水分解酵素は,組織や細胞におけるCSに特異的な機能の解明に役立つと考えられる。また,バクテリア由来のCS脱離分解酵素に代わり,脊髄損傷の治療に応用できる可能性がある。

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参考文献 (27)*注記

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