患者の自己判断による服薬の続行が招いたUracil/Tegafur(UFT)カプセルによる重篤な薬物性肝障害の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Severe Drug-Induced Hepatic Failure Caused by Continued Administration of Uracil/Tegafur (UFT) Capsules by Self-Judgement

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説明

状結腸切除術が施行された患者に対し, 術後補助化学療法として当初注射剤を用いたlevofolinate (アイソボリン®) /5-fluorouracil (5FU®) 療法が開始され, その後内服剤のfolinate (ユーゼル®) /uracil/tegafur (UFT®) に変更となった.内服開始から約2週間後に倦怠感を訴え, 主治医から内服中止が指示されたにもかかわらず, 患者の自己判断により服薬が続行された.服薬の完遂から約1週間後, 極度の倦怠感を訴え緊急入院となった.肝機能検査値の著明な上昇およびeosino分画の上昇を認め, folinate/uracil/tegafurによる薬物性肝障害と診断された.肝庇護剤の投与ならびに血漿交換が行われ, 約20日で軽快した.薬物リンパ球幼弱化刺激試験により, uracil/tegafurが起因薬物と判明した.今回の肝障害の発症には, 患者の自己判断による服薬の続行が最も影響したと考えられた.したがって, 抗癌剤の投与に際しては, 患者に対し服用に関する一般的注意の他に, 患者の性格も考慮に入れた指導が必要と考えられた.

収録刊行物

  • 臨床薬理

    臨床薬理 37 (3), 135-138, 2006

    一般社団法人 日本臨床薬理学会

参考文献 (14)*注記

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