パーリ文Mahaparinibbanasuttantaにおける世尊の死因

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タイトル別名
  • A Study on the Cause of the Buddha's Death depicted in Mahaparinibbanasuttanta
  • パーリブン Mahaparinibbanasuttanta ニ オケル セソン ノ シイン

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抄録

世尊の死因については定説がない。80歳の高齢になっていた世尊は、最後の旅の途中、チュンダの調理したスーカラ・マッダヴァを食べた後、短期間で激しい苦痛(腹痛?)と血性下痢を生じた。頻繁に飲水と休息をとりながら旅を続け、クシナガラで入滅した。史実と異なる内容も多いと思われるが、最後の旅の途中に現れた死因解析に必要な臨床症状を最も詳細に述べている文献の一つはパーリ語によるMahaparinibbanasuttanta(MPS)である。死因に関する先行研究は、スーカラ・マッダヴァの性質(豚肉、キノコなど)に関するものが大部分であった。血性下痢をもたらす疾患には、感染性腸炎、腸間膜動脈閉塞症、虚血性腸炎、大腸癌、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室症などがあるが、患者の年齢、症状、経過、糞便の性状などより、細菌(とくに赤痢菌)あるいは赤痢アメーバに汚染された食物ないし飲料水による重症の感染性腸炎であったと推測する。

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