The Bathang Manuscript of the <i>Buddhāvataṃsakasūtra</i>

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  • チベット語訳華厳経のBathang写本について
  • The Bathang Manuscript of the Buddhavatamsakasutra

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<p>Newark Museum所蔵のBathang写本カンギュルは,ツェルパ系にもテンパンマ系にも属されない地方カンギュルの一つで,16世紀あるいは15–16世紀に筆写されたと推定されている.同カンギュルのvol. 7(nga)と vol. 8(a)にチベット語訳華厳経(全体45章)の第44「離世間品」と第45「茎荘厳品」の二章が収録されている.近年,Helmut Eimer による同カンギュルのカタログが出版されており,同経についてもデルゲ版と比較対照する形で基礎調査が行われた.本稿ではその成果を踏まえながら,巻の構成,経名,訳語について,他の諸本と比較対照し,Bathang写本 の特徴を明らかにした.調査結果をまとめると,以下のとおりである.</p><p>1. Bathang写本は,巻の構成において,第44章はプダク写本・ツェルパ系に一致し,第45章は独自の形を持つが,全般的にテンパンマ系に近い. </p><p>2. Bathang写本は,章末や各巻のはじめにおいて,Sangs rgyas phal po cheより古い経名 Sangs rgyas rmad ga cad を用いる.この題名は,テンパンマ系には見出されない.</p><p>3. *pratisaṃvid の訳語について,Bathang写本は第44章ではプダク写本・テンパンマ系に一致する.一方,第45章では全20例中,最初の2例はプダク写本・テンパンマ系に,残りの18例はツェルパ系に一致する.</p><p>4. *citta/*cetasに対する訳語について,Bathang写本は第44章ではプダク写本・テンパンマ系に,第45章ではツェルパ系に一致する.</p><p>5. Bathang写本は,第44章における *buddhāvataṃsakaの訳語として,sangs rgyas rmad ga cadを用いる.一方,他の諸本は『翻訳名義大集』に規定されているsangs rgyas phal po che を用いる.</p>

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