新自由主義=市場化の進行と教職の変容

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タイトル別名
  • The Advance of Neo-liberalism and Marketization and the Transformation of the Teaching Profession
  • シン ジユウ シュギ シジョウカ ノ シンコウ ト キョウショク ノ ヘンヨウ

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抄録

<p> この論文では,新自由主義=市場化の政策によって,教師の世界がどのように変わっていったのかを,4つの観点から述べている。<BR> 第1は,教職の専門職性についてである。市場化の進行とともに,教職の脱専門職化が進行し,教職のサービス化が進行していった。そのために,教師の権威が失墜していった。他方で,教職大学院の設置にみられるように,教職の専門性を高めようという動きもある。したがって,近年の教員政策の特徴として,専門職化と脱専門職化というアンビバレントな動向がみられる。<BR> 第2は,成果主義と教員評価についてである。2000年から東京都においては,教員に対する人事考課制度が導入された。教師の意欲や努力が報われ,評価される体制をつくることを目的としてのものだが,教える仕事を外形的に評価することには困難が伴う。逆に,教師の意欲が減退してしまう危険性もある。<BR> 第3は,教職のサービス化と多忙化である。市場化によって,保護者や児童・生徒,企業などの発言力が高まり,その声をくみ取る形で,教員の仕事が忙しくなってきた。こうした教師の多忙さは,学校教育の質にも連動していくものであり,これへの対処が新たな課題として登場してきた。<BR> 第4は,同僚性の衰退である。教員の同僚性は,学校での日常的なコミュニケーションを活発化させ,教員としての力量形成を向上させていくことに役立つ。しかし,一方では学校組織における官僚制の進行,他方では,教員世界におけるプライバタイゼーションの進行が,教員世界の同僚性を浸食していった。</p>

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