独占的競争下における国際マクロ経済政策

書誌事項

タイトル別名
  • Intenational Macroeconomic Policy under Monopolistic Competition
  • ドクセンテキ キョウソウ カ ニ オケル コクサイ マクロ ケイザイ セイサク

この論文をさがす

抄録

本論文では, 近年発展している独占的競争市場の理論を用いて, 貨幣的な開放経済に関する異時点間アプローチの一般均衡モデルを展開する。特に, 規模に関して収穫一定の生産技術の下で労働および資本が生産要素として用いられる場合, 資本蓄積を通してどのように結論が修正されるかを分析する。また, 貨幣に関する取り扱いとしてはキャッシュ・イン・アドバンス (cash-in-advance: CIA) モデルの設定を用いる。このような設定の下で, 両国の政府が貨幣政策を行った場合に短期・長期的な各内生変数, および経済主体の厚生水準がどのように変化するかを分析する。<BR>本論文から導かれる結論は, 上述のアプローチにおける先駆的な業績であるObstfeld and Rogoff [28] と次の2点で異なる。第一に, 資本が存在することによって, 生産面に対する貨幣政策の効果が強められ, 消費面に対する効果が弱められることが挙げられる。すなわち, 貨幣政策の長期的な生産量に対する効果と資本に対する効果には正の相関があり, 資本の変化が生産量の変化をより強めるという結論が得られる。また, 消費面に関しては, たとえ貨幣政策によって所得が増加しても利子率の変化を通じてその政策の消費への効果が弱められることも導かれる。<BR>第二に, この設定の下では貨幣政策の厚生水準に対する効果として, 移行過程をも含めた効用和で厚生水準を測るとき, いずれかの国が貨幣政策を実施することによって, 両国の厚生は共に増加するが, 実施した国における増加がもう一方の国における増加を上回ることを, 適切なパラメーターの下で, 数値例を用いて説明する。また, 定常状態においては自国政府の政策が自国の厚生水準を必ず増加させる一方, 外国政府の政策が自国の厚生水準を減少させることが導かれる。

収録刊行物

参考文献 (24)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ