摂食障害と脳由来神経栄養因子

DOI
  • 中里 道子
    千葉大学医学部附属病院こどものこころ診療部 千葉大学大学院医学研究院精神医学
  • 橋本 謙二
    千葉大学社会精神保健教育研究センタ-・病態解析研究部門
  • 伊豫 雅臣
    千葉大学医学部附属病院こどものこころ診療部 千葉大学大学院医学研究院精神医学

書誌事項

タイトル別名
  • Eating Disorders and Brain-derived neurotrophic factor : BDNF

抄録

脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor : BDNF)は,脳に豊富に含まれる神経成長因子の一つであり,神経細胞の生存・成長・シナプスの機能亢進などの神経細胞の成長を調節する蛋白質である。BDNF 遺伝子改変動物では,ストレスに対する不安,食欲亢進が報告され, BDNF と食行動異常との関連が近年注目されてきた。神経性無食欲症(Anorexia Nervosa : AN),神経性大食症(Bulimia Nervosa : BN)などの摂食障害(Eating Disorders : ED)は,自己評価に対する体重や体型の過剰な影響を背景とした食行動の障害である。生物学的,遺伝的要因,心理社会的要因などさまざまな要因が発症と症状維持に関連しているが,原因は明らかではない。 我々は,血清 BDNF 値は,AN 群,BN 群では HC 群に比較し有意に減少し,AN 群は AN 回復群に比較し有意に減少することを見出した。 本稿では,血清 BDNF と ED に関連する我々の研究を紹介し,ED の病態生理との関連及び ED の有用な生物学的診断指標である可能性を提唱した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680388920576
  • NII論文ID
    130005395341
  • DOI
    10.11249/jsbpjjpp.21.4_237
  • ISSN
    21866465
    21866619
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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