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- 田中 沙織
- 大阪大学社会経済研究所 行動経済学研究センター
書誌事項
- タイトル別名
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- Computational model of dopamine and serotonin in decision making
- ヨソク ト イシ ケッテイ ニ オケル ドーパミン,セロトニン ノ ケイサンロンテキ モデル
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説明
脳の複雑な機能の解明には,物質や回路の働きについての数理モデルを仮定し,それを実験的手法で検証する「計算論的神経科学」のアプローチが有効であることは近年神経科学のみならず,臨床や経済学といった様々な分野に広く浸透してきた。その中でも,ドーパミン,セロトニンなどの神経修飾物質の役割を記述する数理モデルは,予測と意思決定の脳の機能解明には不可欠であり,数理モデルに関する検証実験が盛んに行われている。予測と意思決定に関するドーパミンの代表的な数理モデルとして,強化学習理論における「予測誤差」が挙げられる。また予測と意思決定に関するセロトニンが関与する機能の1つとして,「衝動的選択」が挙げられる。これは,将来的に大きな報酬が得られる行動よりも,即時的に少ない報酬を得られる行動を選んでしまうことであり,ラットのセロトニン経路の破壊で,衝動的選択が生じたことが報告されている。これらの実験から,セロトニンが遅延報酬に対する価値の割引(時間割引率)に対応するというモデルが提唱されている。本稿は,強化学習理論をもとに,ドーパミンおよびセロトニンの機能モデルの紹介と,それを検証した一連の研究のレビューである。
収録刊行物
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- 日本生物学的精神医学会誌
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日本生物学的精神医学会誌 24 (2), 80-88, 2013
日本生物学的精神医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680389192448
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- NII論文ID
- 130005395503
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- NII書誌ID
- AA12468060
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- ISSN
- 21866465
- 21866619
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- NDL書誌ID
- 024800081
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可