精神疾患におけるグルタミン酸トランスポーターの役割

  • 田中 光一
    東京医科歯科大学難治疾患研究所分子神経科学

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タイトル別名
  • Role of glutamate transporters in the pathophysiology of psychiatric diseases
  • セイシン シッカン ニ オケル グルタミンサン トランスポーター ノ ヤクワリ

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抄録

グルタミン酸は,哺乳類中枢神経系において主要な興奮性神経伝達物質であり,記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。しかし,その機能的な重要性の反面,興奮毒性という概念で表されるように,過剰なグルタミン酸は神経細胞障害作用を持ち,様々な精神疾患に関与すると考えられている。我々は,グルタミン酸の細胞外濃度の制御にとって最も重要なグリア型グルタミン酸トランスポーターGLAST およびGLT1の機能を阻害したマウスを作製し,そのマウスに社会行動の障害・強迫性行動・統合失調症様の行動異常が起こることを見つけた。さらに,様々な精神疾患においてグリア型グルタミン酸トランスポーターの遺伝子異常や発現異常が報告されている。これらの報告は,グリア型グルタミン酸トランスポーターを活性化する化合物は,新しい抗精神疾患薬として有用であること示唆している。

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