α1,6 フコース転移酵素(Fut8)欠損による行動異常とその機序について

  • 福田 友彦
    東北薬科大学・分子生体膜研究所・細胞制御学教室
  • 顧 建国
    東北薬科大学・分子生体膜研究所・細胞制御学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Functional analysis of α1,6- fucosyltransferase deficient mice and underlying molecular mechanism
  • a1,6 フ コース テンイ コウソ(FUt8)ケッソン ニ ヨル コウドウ イジョウ ト ソノ キジョ ニ ツイテ

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抄録

糖タンパク質に付加された糖鎖はさまざまな生物活性を持つと考えられているが,特定の糖鎖構造との関係を示した研究は少ない。しかし,脳組織に発現する N 型糖鎖はα1,6 フコース修飾されている割合が高いことが知られている。我々は N 型糖鎖の根元にα1,6 フコースを転移する糖転移酵素(Fut8)欠損マウスの表現型が神経疾患のいくつかの症状・特徴と類似していることを見い出し,人に対する治療薬に効果が認められることも確認できた。さらに,患者の社会復帰を艱難にしている認知障害に焦点をあて,欠損マウスの海馬 CA1 領域での長期増強(LTP)の形成が野生型マウスより減弱していることを見い出し,その原因が Fut8 欠損神経細胞で LTP の形成に中心的な役割を果たすと考えられている糖タンパク質である AMPA 受容体複合体形成が変化し,それに伴うシグナルの変化にあることを見い出した。本稿では,精神疾患の発症メカニズムの解明に糖鎖による機能分子の質的変化の視点を Fut8 欠損マウスの結果をもとに提案する。

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