GABA ニューロンの遊走障害と統合失調症

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タイトル別名
  • Migration deficit of GABAergic interneuron and Schizophrenia
  • GABA ニューロン ノ ユウソウ ショウガイ ト トウゴウ シッチョウショウ

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抄録

統合失調症の病態として,多くの死後脳研究から大脳皮質における GABA ニューロンの異常が報告されている。しかし,統合失調症の成因仮説として現在のところ発達障害仮説が最も有力な仮説として挙げられているが,死後脳研究で認められた GABA ニューロンの異常がそれ自体の発達期の問題なのか,皮質神経回路の形成・機能不全の結果生じた変化なのかを判別することは困難である。この問題を解決するため,統合失調症のモデルマウス,特に高率に統合失調症を発症することで知られている 22q11.2 欠失症候群のモデルマウスを用いた研究から,発達期における GABA ニューロンの大脳皮質への遊走に異常があることがわかった。遊走にかかわるシグナルとして,Neuregulin1-ErbB4シグナルおよび Cxcl12- Cxcr4 シグナルが同定されている。上記モデルマウスにおいては,Cxcl12- Cxcr4 シグナル,特に受容体である Cxcr4 の発現低下により遊走障害をきたすことがわかった。これらから,GABA ニューロンの発達期における異常が統合失調症の成因となる可能性が示唆された。

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