血液を利用した気分障害とその薬物応答の生物学的マーカー

  • 大森 哲郎
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野 徳島大学病院精神科神経科
  • 伊賀 淳一
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野 徳島大学病院精神科神経科
  • 沼田 周助
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野 徳島大学病院精神科神経科

書誌事項

タイトル別名
  • Blood-based biomarkers for the diagnosis and drug response for mood disorders
  • ケツエキ オ リヨウ シタ キブン ショウガイ ト ソノ ヤクブツ オウトウ ノ セイブツガクテキ マーカー

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抄録

うつ病の基盤には脳の機能変調が存在し,その影響は神経内分泌系,神経免疫系,自律神経系を通して全身に及んでいる。これらを利用したバイオマーカーの探索はこれまでも数多い。デキサメサゾン抑制試験や脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度などは最も注目されてきた。しかし,いずれも臨床応用可能な感度と特異度が達成できていない。近年の革新的な方法論の進歩はこの現状を打破する可能性をもたらした。血中タンパク質,mRNA 発現量, DNA メチル化修飾あるいはマイクロ RNA 量などを網羅的に解析することが可能になり,複数測定値を組み合わせたバイオマーカーの開発が進められている。2013 年 6 月に京都で開催された世界生物学的精神医学会議におけるシンポジウムにおいて,血液をサンプルとする気分障害の診断マーカー研究の最新状況を,米国,イスラエル,日本からの 4 名の演者が発表した。いずれも斬新な研究であり,近い将来の診断マーカーとしての臨床応用を期待させるものである。

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