八ヶ岳連峰稲子岳の凹地内における暖候期の冷気湖形成

書誌事項

タイトル別名
  • Formation of a Cold Air Lake during the Warm Season in a Small Hollow in Mt. Inako-dake, Yatsugatake Range
  • ヤツガタケ レンポウ イナコダケ ノ オウジナイ ニ オケル ダンコウキ ノ

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説明

「植生の逆転」現象が見られる八ヶ岳連峰稲子岳の凹地内で1995年暖候期に行った気温観測結果から,凹地内で形成される冷気湖の季節性,形成状態についての知見が得られた.冷気湖形成を山頂と凹地底の気温差から定義したところ,冷気湖は観測期間132日に78日形成されていた.冷気湖は,夏季は太平洋高気圧下で形成され(夏型),9月以降は移動性高気圧下で形成されていた(秋型).夏型の冷気湖は逆転時間が短く,弱い冷気湖である場合が多いのに対して,秋型の冷気湖は一晩中持続し,強い冷気湖であることが多かった.こうした冷気湖の季節性は,放射冷却の大きさを決める上で重要な水蒸気量もしくは雲の発生の季節変化が要因の一つであると考えられた.また,冷気湖の逆転層の上限高度を見ると,逆転の強い冷気湖では上限高度は比高50~70m,弱い冷気湖では20m以下であることが推測され,凹地底付近では冷気湖の影響を強く受けている.

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