AYA世代肉腫に対する臨床試験

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  • 宮地 充
    京都府立医科大学大学院医学研究科小児科学

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  • ~横紋筋肉腫を中心に~(小児科の立場から)

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抄録

<p>米国の統計では,Ewing肉腫や横紋筋肉腫のAYA世代の治療成績は15歳未満の成績に比べて劣る.また,英国のがん登録によると,AYA世代のEwing肉腫と横紋筋肉腫は5年生存率が50%に満たず,この内,横紋筋肉腫は予後の改善を認めない腫瘍として挙げられている.原因として,AYA世代の臨床試験への参加率が低く,また,適切な治療を受けられていないことが挙げられている.Ewing肉腫,横紋筋肉腫においては,後方視的検討でAYA世代も小児型プロトコルで治療を受けた方が,治療成績が良いことが示唆されており,欧米の臨床試験では,AYA世代にも臨床試験参加の機会を提供している.</p><p>こうした国際的な知見と,日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)の初代臨床試験(JRS-I)において得られた結果を統合し,JRSGの次期臨床試験(JRS-II)では,低・中間リスク群においては急性毒性,不妊など長期合併症の軽減,高リスク群においては治療成績の改善を目指し,AYA世代への臨床試験参加の機会を提供するプロトコルとした.AYA世代がん患者は,自己同一性を確立する重要な時期に,がんの診断・治療に伴い様々な喪失を経験する.治療を継続する気持ちを支えるために,多職種の連携による集学的治療と心理社会的支援を含むトータルケアが必要であり,小児がん専門医はコーディネーターの役割を担う必要がある.</p>

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