網膜芽細胞腫の眼球温存治療,視機能温存を目指して

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抄録

網膜芽細胞腫は年間発症数が70~80名の眼内腫瘍である.眼内初期病変は生命予後,眼球温存率とも高く,治療目標は視機能温存である.多くの場合は眼内進行期で発見され,生命予後は良好,治療目標は眼球温存である.眼球外病変で発見された場合は治療目標は救命であり集学的治療を行う.<br/>眼内病変に対する治療として,3 mm以下の小病変はレーザー,冷凍凝固により90%以上の制御が得られる.腫瘍厚5 mm以下の限局腫瘍は小線源治療により90%の局所制御が得られる.多くの場合はそれ以上大きい腫瘍,もしくは播種を伴って発見され,初期全身化学療法により腫瘍を縮小後,局所治療により地固めを行うchemoreduction治療が行われ,半数程度の眼球が温存される.緑内障など合併症を伴う場合には眼球摘出を行い,病理診断に基づき後療法を行う.<br/>眼球温存治療の危険性として,病理診断の過小評価を生じる危険性があり,長期予後としての臓器障害,妊孕性の評価は未解明であり,今後の検討が必要である.<br/>遺伝性症例ではRB1遺伝子関連の二次がん発症リスクがあり,肉腫が多い.長期フォロー体制が必要である.

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