組織診断を行わずに化学療法を先行させ,安全に腫瘍摘出術を施行した,両側性Wilms腫瘍および右心房進展型Wilms腫瘍の2例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A case of bilateral Wilms tumor and a case of Wilms tumor with cavoatrial extension, safely operated after preoperative chemotherapy without initial pathological diagnosis

この論文をさがす

説明

<p>本邦におけるWilms腫瘍の治療戦略は,開腹手術を先行させ,病期の確定と病理組織診断の後,化学療法を行うことが一般的である.しかし,右心房内進展型Wilms腫瘍においては安全に手術を先行させることが困難であることも多く,両側性Wilms腫瘍では術後の腎機能廃絶の危険もあることから,治療法は確立していない.進展性・両側性Wilms腫瘍に対しては,術前化学療法の有効性と,術前化学療法に先行する組織診断を必須としない報告が散見される.我々は,両側性腎腫瘍の1歳女児および右心房内進展型腎腫瘍の4歳男児の2例に対し,組織診断を行わず化学療法を先行させた.いずれも化学療法施行後に安全な腫瘍摘出術と,得られた組織より術後Wilms腫瘍と診断することができた.自験例の経験からは初診時に安全な腫瘍摘出術が困難な進展型や両側性Wilms腫瘍に対しては,組織診断を先行せず術前化学療法を検討してもよいのではないかと考えられた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ