788. 北上山地中部デボン系中里層産の三葉虫動物群について : その 1, Lichidae 科

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タイトル別名
  • 788. A MIDDLE DEVONIAN TRILOBITE FAUNA FROM THE KITAKAMI MOUNTAINS. NORTHEAST JAPAN : I. THE LICHIDAE
  • 北上山地中部デボン系中里層産の三葉虫動物群について-1-Lichidae科〔英文〕
  • キタカミ サンチ チュウブ デボンケイ ナカザトソウサン ノ サンヨウチュウ

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抄録

中部デボン系中里層N3部層から, Lichidae, Scutelluidae, Dechenellidae, Calymenidae, Phacopidae, Dalmanitidae及びOdontopleuridaeの各科に属する豊富な三葉虫動物群を発見した。この動物群は岩手県大船渡市日頃市町の大森沢及び樋口沢産の三葉虫から成る。両産地はこれまで互いにその産出層準を異にするものと考えられてきた。即ち, Thysanopeltella paucispinosa (Okubo, 1951)及びDechenella (Dechenella) minima (Okubo, 1951)は, それぞれ大森沢に在ってアイフェル世を, 樋口沢に在ってジベー世を指示するものと考えられてきた。しかし, 両者は樋口沢の産地に於て共存することが明らかになったのである。現在では時代の指示者として用いることのできるものはThysanopeltellaのみである。それ故本三葉虫動物群の生息年代はアイフェル世を下らないものと考えられる。これはCopper et al. (1982)の腕足類Atrypaの検討結果とも符合する。本三葉虫動物群の構成に関しては, 属レベルでは東北日本に固有の型と考えられるものが少なくなく, 飛騨山地の下部デボン系三葉虫動物群とはただ汎世界型のAcanthopyge (s. l.) 1属のみを共通にするに過ぎない。科及び亜科の構成からみても本三葉虫動物群は飛騨山地三葉虫動物群の後裔であるとは考えられない。本篇に於てはLichidae科に属する2新種を記載し, 内ひとつに対し新属を提唱しNipponargesと命名した。新属は頭鞍中葉上を明瞭な頭鞍溝(2p及び3p)が横切る点で本科としては特異である。模式種の新種Nipponarges mediosulcatus以外にこのような性質を示すものは未だ知られていない。他の1新種はAcanthopyge (Acanthopyge) duplicispinataである。筆者は, 樋口沢産の三葉虫を順次記載して行く予定である。

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