858. 日本の白亜系から稀に得られたスフェノディスク科アンモナイト

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タイトル別名
  • 858. A SPHENODISCID AMMONITE ACQUIRED RARELY FROM THE CRETACEOUS OF JAPAN
  • 日本の白亜系から稀に得られたスフェノディスク科アンモナイト〔英文〕
  • ニホン ノ ハクアケイ カラ マレ ニ エラレタ スフェノディスクカ アンモ

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抄録

本邦の白亜系の最上部またはそれに近い部分からSphenodiscidaeに属するアンモナイトをかねてから探求していた。このほど淡路島長田の高速道路工事で拡大された崖から高田雅彦氏採集の唯一個を, 佐藤政裕氏をへて研究に提供して下さった。両側面とも保存され, 住房の主要部もあり, 直径18cm, 欠損部を復元すれば約22cmで比較的大型といえる。へそはほとんど開かずきわめて小さい。見えている範囲の気房部の外面はほぼ平坦かごく低い屋根型で中央に細くて弱いキールの名残りがある。外面の両肩に鈍い突起が間を置いて配列し, さらに側面の中ほどにそれの半数の鈍くて丸い突起が広い間隔で(半巻きに7個)配列する。住房の主要部ではこれらの突起は消失するが, 側面中ほどの隆起帯は存続し, そこで殻はやや膨らみ, その外側は浅く凹む, 外面は広くなり, 肩のかどがとれてゆるいアーチ状を呈する。殻表面の放射状成長線は緩い2凹波曲を示すが, 外面を垂直に横断している。残念なことに縫合線の詳しい型がわからない。概形と装飾から本種はLibycocerasに属するとみなされ, ナイジェリアに多産するL. afikpoense Reymentに類似するが, 後者では突起がもっと広い間隔で数少ないが長く存続し, また幼~中年期の外面が鋭く尖っている。その他の種とも異なるので新種L. awajienseとする。この標本は和泉層群西淡層のPachydiscus awajiensis帯に産した。同帯はカンパニアン・マストリヒチァンの境に近く, Morozumi (1985)は暫定的にカンパニアン最上部に対比した。L属はマ階上部にまで存続するが, L. afikpoenseはカンパニアン上部に産し, 日本のと近似のものがイスラエルの同階上部からも報告されている。またP. awajiensisは西欧その他の同階上部産のP. koeneni de Giossouvreに近似である。これらの事実はさきの対比論を支持するといえる。

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