868. 瀬戸内海の更新統産 Sika 亜属の成長

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タイトル別名
  • 868. GROWTH OF ANTLER IN THE SUBGENUS SIKA (CERVID, MAMMAL) FROM THE PLEISTOCENE FORMATION IN THE SETO INLAND SEA, WEST JAPAN
  • 瀬戸内海の更新統産Sika亜属の成長〔英文〕
  • セトナイカイ ノ コウシントウサン Sika アゾク ノ セイチョウ エイブン

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抄録

瀬戸内海からは, ナウマンゾウをはじめ鹿科や牛科などに属する哺乳動物化石群が豊富に産する。このうち, これまで記載されたか, リストされたSika亜属は7種にのぼり, 絶滅種のほかに, 現生のニホンジカや満州のウスリージカと同種の化石鹿まで含まれているとされたことがある。近年, 備讃瀬戸海域の海底から引き揚げられた山本慶一氏のコレクション中には, 120点を越すSika亜属の角や四肢骨を含んでいる。それらの角の集団標本には種々の形態・大きさのものがあり, その多様性は単一の種の加齢変化である可能性がでてきた。これを立証するために, セメント層板法によって年齢が査定されている現生ニホンジカ(エゾシカ, ホンシュウジカ, ツシマジカ)の3種の角の形態・大きさの加齢変化について検討した。その結果, 従来単一またはいくつかの角の標本を基に提唱された瀬戸内海産の化石Sika亜属の4種(katokiyomasai・natsumei・cf. greyi・paleozoensis)は, 単一の種あるいは亜種内の異なった年齢期の角を代表としていることが明らかとなった。新たに認識されたSika亜属は, その角の特徴によって, 中国の中期更新世の周口店動物群に特徴的なグレイ班鹿(Cervus greyi)に似るが, 後者に比べて, その角はやや小型であり, その亜種とみなされ, 動物命名規約上, 亜種名katokiyomasaiが選択され, カトウキヨマサジカCervus greyi katokiyomasaiを提唱する。同亜種は中期更新世の後半に, ナウマンゾウや, 先住者であり, 固有種のムカシジカ亜属(Nipponicervus)などとともに, 日本列島の低地部に繁栄した。

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