口唇裂口蓋裂児の矯正治療期における精神医学的問題

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  • Psychiatric Problems Surrounding Adolescents with Repaired Cleft Lip and Palate During Orthodontic Treatmet

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抄録

口唇裂口蓋裂を伴う下顎前突の矯正治療中,何らかのノンコンプライアンス(不従順)を示し,治療管理の維持に困難を感じた患者9名に関する記載を行い,口唇裂口蓋裂児の矯正治療期における精神医学的問題についての考察を行った。その結果,<BR>1.矯正治療期間中に口唇の療痕や鼻の変形に対して,周囲から凝視,嘲笑・陰口,いじめなどの心理的圧迫を経験するとともに,言葉の障害により他者との意志の疎通を欠き,内向的性格を深めていく症例が観察された。<BR>2.ノンコンプライアンスを示した状況理由として,1)不登校や家庭内暴力などの適応障害に伴うもの・2)異形恐怖的心性に伴い,自己診断的態度を示すもの,3)抑うつ,4)不平不満が多く,術者の指示を守らない等々が観察された。とくに1),2),4)の背景には精神医学的に反抗と依存の両価性が観察された。<BR>3.口唇裂口蓋裂による容貌と言語の障害,家族の危機,進学受験などの心理的負担を同時に負いながら,自らの趣味やスポーッにおいて,他者に負けない自己を発見することにより,危機意識を回避すると同時に・自我同一の感覚を掴み,内的衝動を昇華させていたと考えられる症例が観察された。<BR>4.口唇裂口蓋裂患者を囲む環境の中で,患者・家族・医療スタッフそれぞれの問題意識を再点検しa且っ互いに結合させ,対人関係を調整し,患者の精神的問題に架け橋を架けるべく,コンサルテーション・リエゾン精神医学の導入の努力を強調した。

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参考文献 (38)*注記

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