再利用ガラスを結合材に用いた試作クリストバライト埋没材は再利用が可能である

  • 相田 能輝
    昭和大学歯学部歯科理工学教室
  • 張 祖太
    昭和大学歯学部歯科理工学教室 首都医科大学附属北京口腔医院研究所
  • 八木 哲
    昭和大学歯学部歯科理工学教室
  • 玉置 幸道
    昭和大学歯学部歯科理工学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental Cristobalite Investments with Reused Glass Powder as Binder Materials are Available for Reuse of Casting
  • サイリヨウ ガラス オ ケツゴウザイ ニ モチイタ シサク クリストバライト マイボツザイ ワ サイリヨウ ガ カノウ デ アル

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抄録

歯科技工作業では鋳造は欠かせぬ技術であるが, 鋳造後の鋳型材は産業廃棄物となる. 本研究では産業廃棄物の軽減を目的とした再利用可能な歯科鋳造用埋没材の開発を目指した. ビーカーやシリンダーを粉砕したガラス粉末を準備した. ガラスの成分と加熱による変化を調べた後に, クリストバライト粉末に重量比でガラス粉末を5, 10, 15, 20%と添加し (略号G-0, G-5, G-10, G-15, G-20), 試作再利用型埋没材を作製した. これらを混水比0.3で練和し, 900℃まで加熱した際の加熱膨張と加熱後の圧縮強さを測定した. また, これらの埋没材により板状の試験片とMODインレー型のクラウンを鋳造し, 表面粗さと適合性を評価した. コントロールとして, 市販の石膏系埋没材を用いて比較検討した. 試作埋没材は試験後に回収しボールミルにより再度粉体として, 同様な実験を繰り返した. ガラスは約800℃で溶融することが確認され, 加熱膨張の測定でも特に添加量の多いG-15, G-20で同温度での顕著な収縮が認められた. 膨張量はガラスの添加量が増えるにつれて減少する傾向が認められたが, いずれの割合でもコントロールよりも大きな値であった. 一方, 加熱後の圧縮強さはガラスの添加量が多い方が大きな値を示した. 基礎実験のデータから鋳造性と鋳造体の表面粗さについてG-0, G-10, G-20で鋳造実験を行ったところ, G-10, G-20はコントロールと比べ差が認められなかった. 適合性ではコントロールに比べて加熱膨張が大きいG-10, G-20がともに大きな浮き上がり量を示した. MODインレー型のキャップをはずした状態での計測ではG-10, G-20ともに改善が認められ, 特にG-10で顕著であり, MODキャップを着けた状態でのG-10, G-20から得られた鋳造体の不適合は過膨張が原因であると考えられた. 以上のことから再利用ガラスを結合材に用いた試作クリストバライト埋没材は鋳造後の再利用が可能であると考えられ, G-10をベースに, さらに組成の改良をすることにより実用性があると考えられる.

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