補綴治療が無歯顎者の咀嚼機能に与える影響

  • 今井 智子
    Department of Geriatric Dentistry, Showa University School of Dentistry
  • 北川 昇
    Department of Geriatric Dentistry, Showa University School of Dentistry
  • 佐藤 裕二
    Department of Geriatric Dentistry, Showa University School of Dentistry
  • 山口 麻子
    Department of Geriatric Dentistry, Showa University School of Dentistry
  • 桑澤 実希
    Department of Geriatric Dentistry, Showa University School of Dentistry

書誌事項

タイトル別名
  • The Effects of Dental Prosthodontic Treatments on Masticatory Function in the Edentulous Patients
  • ホテツ チリョウ ガ ムシ ガクシャ ノ ソシャク キノウ ニ アタエル エイキョウ

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抄録

8020運動の推進や国民の口腔健康への関心の高まりにより, 現在歯数は増加傾向にある. 一方で, 無歯顎者にはインプラントオーバーデンチャーという選択肢も広がりつつある. 本研究では, 無歯顎者に対するインプラントオーバーデンチャーの補綴治療が咀嚼機能をどこまで有歯顎者に近づけているかを明らかにすると同時に, 各群の問題点を抽出することを目的とした. 性別と年齢をマッチングさせた上で, 多数歯残存の高齢者 (有歯顎群) 10名, 下顎インプラントオーバーデンチャー装着者 (IOD群) 10名, 全部床義歯装着者 (CD群) 10名の3群を対象に, 反復唾液嚥下テスト, 口腔乾燥臨床診断基準, 身体社会的条件, 口の問題の調査, QOL評価, デンタルプレスケールによる咬合力評価, 寒天篩分法による咀嚼能率評価, 咀嚼スコア (摂食可能食品の割合) の算出を行った. その結果, CD群は咬合力, 咀嚼機能は低いものの, 咀嚼スコアでは満足していることが示された. IOD群では, 有歯顎群に比較して, 咬合力, 咀嚼スコアは低いものの, 咀嚼能率は同等であり, 食形態や硬さを考慮すれば, 摂取が困難になることはないと考えられた. また, 口臭や口の問題でみじめな気がしたなど審美面も気にしており, 多方面から補綴治療を考えていくことが重要である. 有歯顎群は咀嚼自体の問題はないものの, 誤咬や食べ物がはさまることが大きな問題であり, 加齢に対応した適切な歯科治療が課題であろう.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (42)*注記

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