鏡映描写時における圧反射感度の変化 : 課題難易度の影響
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- 長野 祐一郎
- 札幌医科大学心理学教室
書誌事項
- タイトル別名
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- Change in baroreflex sensitivity during mirror drawing : Effect of task difficulty
説明
本実験では, 注意課題の典型である鏡映描写 (MD) を用い, 課題難易度の増加による能動的対処の増強が, 迷走神経活動の指標である, 圧反射感度 (BRS) に与える影響を検討した.<BR>本研究は二つの実験から構成された.両実験において, 心拍数 (HR), 収縮期血圧 (SBP), 拡張期血圧 (DBP) が計測され, BRSがシーケンス検索法により算出された.実験1では24名の被験者が, コンピュータ化された簡潔なMDを行った.その結果, HR, SBP, DBP, BRSに上昇が認められた.実験2では, 14名の被験者が2条件のMDを実施した.一方は周回時間, 逸脱の程度に制限を設けた条件で, 他方は制限の一切ない条件であった.HR, SBP, DBPの上昇は, 制限あり条件においていっそう顕著であった.BRSは制限なし条件においては増大したが, 制限あり条件では減少した.<BR>実験1では, 簡素なMDが, 本来心臓迷走神経活動を増大させることを明らかにした.これは, MDの注意を伴う性質に帰属される.実験2では, 能動的対処の強調により, 注意を伴う課題であるにもかかわらず, 心臓迷走神経活動が抑制された.これらの結果は, 課題の要求する認知的努力の量が, 心臓迷走神経活動の抑制に大きな影響をあたえることを示唆した.
収録刊行物
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- Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology
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Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology 20 (3), 233-239, 2002
Japanese Society for Physiological Psychology and Psychophysiology
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680434796544
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- NII論文ID
- 130004624536
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- ISSN
- 02892405
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可