腎不全患者のHbA1に関する研究(第1編)

書誌事項

タイトル別名
  • Glycosylated hemoglobin in chronic renal failure
  • Effects of incubation with glucose and u r e a
  • 糖及び尿素による影響

説明

血液透析によるhemoglobin Al(HbAl)代謝への影響を明らかにする為に,透析前後の赤血球をインキュベ-トし,HbAzとその分画を測定した.また,グリコシレーションやカルバミレーションと,腎性貧血の要因としての溶血との関連を検討する為にr全血をin vitroでブドウ糖あるいは尿素を負荷してインキュベートした.更に,低張食塩水で培養血球を部分溶血し,HbAlを比較測定した.対象は慢性腎不全透析例と健常人で,HbAlはモニターGカラムを用いたミクロカラム法で測定した.ブドウ糖含有あるいは非含有透析液による,4-5時間の重曹透析によって透析前後のHbAiおよびその分画は変化しなかったが,透析前と透析後の赤血球をそのまま培養すると,前血液でより高値となった.HbAiおよびその分画は,赤血球を透析前血漿で培養した方が透析後血漿で培養した場合より大であった.ブドウ糖濃度200mg/dl含有透析液による透析では,透析中のグリコシレーションがおこり得ると考えられた.Invitroのブドウ糖あるいは尿素負荷で,幼若赤血球は,HbAIおよびその分画がより強く上昇した。以上により,透析はHbA1代謝に影響を与えており,透析液至適ブドウ糖濃度に関しての長期観察が必要と考えられた.また,幼若赤血球はグリコシレーションやカルバミレーションを受けやすく,十分な透析をすることがこれらの変化を抑制するのに必要と考えられた。

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