カンガルーケアを実施した母親の愛着と早期産体験の癒し

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タイトル別名
  • Maternal Attachment and Healing for Mothers through Kangaroo Care (Skin to Skin Care)
  • カンガルーケア オ ジッシ シタ ハハオヤ ノ アイチャク ト ソウキ サン タイケン ノ イヤシ

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抄録

本研究は, 早期産の母親が実施するカンガルーケアは, 早期産により傷ついた体験の癒しと子どもに対する愛着にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした. 対象は早期産となりカンガルーケアを 3 回以上実施した母親20名, 介入はカンガルーケア(skin to skin care), 測定した変数は, 早期産体験の癒しと母親の愛着, および早期産体験の癒しと関連する気分である. データ収集時期は, 介入前, 介入2週間後, 子どもの退院前の計3回である. データ収集は質問紙法による数量的測定と面接データによる質的測定を用い, これらの結果の類似点と相違点を検討した.<BR>数量的測定結果は, 早期産体験の癒しの下位尺度, 辛さのとらわれからの解放と現実の受けとめは, 2週間後と退院前は介入前より有意に高かった (p<0.03~p<0.000). これらの変化とやや異なり, 自己の確かさは退院前のみが介入前より有意に高かった (p<0.009). 母親の愛着は, いずれの時期にも有意な相違はなかった. 早期産体験の癒しと関連する気分については, 抑うつ-落込みは2週間後が介入前より有意に低く (p<0.02), 活気は退院前が介入前より有意に高かった (p<0.01).<BR>面接データでは, 介入 2 週間後には, 罪悪感と不確かさがやわらぎ辛さにとらわれることから解放されていた. 辛さがやわらぐ要因として, カンガルーケアにより子どもの生きる力を感じ取ったことがある. また, 退院前には, 母親として子どもをケアする確かさを得て, ほぼ全員が辛かった早期産体験を肯定的に意味づけていた. これらは数量的測定結果と類似していた. 一方, 辛さにとらわれる程度はケースにより相違があり, その辛さは子どもに対する関係の取り方に影響していた.

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参考文献 (18)*注記

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