先天性大脳白質形成不全症における ABR,頭部 MRI 所見および臨床経過の検討

DOI
  • 田中 学
    埼玉県立小児医療センター神経科
  • 浅沼 聡
    埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科
  • 安達 のどか
    埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科
  • 坂田 英明
    目白大学保健医療学部言語聴覚学科
  • 加我 君孝
    国立病院機構東京医療センター臨床研究センター(感覚器センター)

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical, neuroradiological, and neurophysiological characteristics of three different types of congenital cerebral hypomyelination

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抄録

  先天性大脳白質形成不全症は大脳白質を主とする髄鞘形成の遺伝的障害であり,髄鞘構成成分や髄鞘化に必要な因子の異常により起こる。著者らの施設を受診した 3 例について,それぞれ頭部 MRI 画像,原因となる病態および ABR 所見を比較した。<br/>  症例 1 は Pelizaeus-Merzbacher 病の男児。PLP1 遺伝子の重複が認められ,ABR では両側ともにIII波以降の波形が認められなかった。症例 2 は18q 欠失症候群の女児。MBP 遺伝子を含む染色体の部分欠失が認められ,低 IgA 血症に伴う両側滲出性中耳炎を繰り返していた。ABR では両側とも伝音難聴を示唆する所見に加え,中枢成分の潜時延長が認められた。症例 3 は 4H 症候群の女性。大脳,小脳および脳幹の進行性萎縮が認められ,運動機能の退行という経過を辿った。ABR ではIII波以降の波形分離は不良で,潜時は延長していた。<br/>  3 病型でそれぞれ異なる病態を反映していることが明瞭になった。

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