小児の前庭機能の障害と発達 —先天性難聴児の前庭半規管障害の運動発達に及ぼす影響について—

DOI
  • 加我 君孝
    東京医療センター・感覚器センター
  • 増田 毅
    東京医療センター・感覚器センター 日本大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Influence of vestibular end organs' disorders on development of gross motor function in congenital deaf children

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抄録

 先天性難聴児を新生児期からその運動発達を観察すると,頸定が遅れ,抱くと頭部が後屈し,歩行の開始年齢も遅れる症例のあることにしばしば気が付く。われわれは先天性難聴児を内耳奇形のない群とある群の 2 つに分けてこの問題について調べた。前庭眼反射は回転椅子検査を用いて評価した。内耳奇形のない群で,前庭眼反射が消失している例では頸定も独歩も有意に遅れることを示した。内耳奇形のある群は,前庭半規管が形成されず一つの囊胞状になっているような症例でも前庭眼反射が出現する例が少ないことを見出した。さらに頸定・独歩は遅れるが,発達とともに獲得することを見出した。次に人工内耳が平衡バランスを改善するという報告があり,人工内耳の使用によって前庭頸筋電位が出現するか調べた。その結果,人工内耳のスイッチ OFF では出現はないが,ON にすると出現する例の少なくないことを示し,人工内耳は前庭神経を持続的に刺激しバランス機能を改善することのあり得ることを示した。

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