自動記録滴定装置による尿中酸の測定

書誌事項

タイトル別名
  • BASIC STUDIES ON TITRATION-CURVE ANALYSIS OF URINE
  • 酸排泄機能の研究. 第1報
  • Studies on Urinary Acidification I

抄録

従来の尿中酸排泄量の測定方法は, 尿pH, 滴定酸 (TA), アンモニウムイオン (NH4+), 重炭酸イオン (HCO3-), をそれぞれ個々に測定しなければならず, またその測定方法は熟練を要する. そこで, 自動記録滴定装置を用いて, 尿にアルカリを添加した時の滴定曲線およびその微分曲線により, 尿中弱酸の種類と量を求めた. この方法は簡便で, 正確であり, 充分実用に供され得る.<br>次にこの方法を用いて, 種々の条件下における尿pHおよび弱酸の量の変化を検討した. 検体の尿は室温放置では2日目ですでにかなりの変化をきたしたが, -20℃の冷凍保存では30日目でも全く変化が見られなかつた. また血尿の有無による変化を調べるため, 尿へ血液を混入して測定したところ, 10ml/l urine のかなりの肉眼的血尿でも, pHが軽く上昇する程度で, 滴定酸, NH4+はほとんど変化しなかつた. 次に尿中蛋白の影響を調べるため, 尿中へアルブミン, γ-グロブリンを混入して測定したところ, 尿pH, 滴定酸はほとんど変化しなかつたが, NH4+で一部軽度上昇するものがあり, 注意を要すると思われる. また細菌尿による影響を E. coli, Ps. aeruginosa, P. mirabilis で調べたところ, P. mirabilis, Ps. aeruginosa, E. coli の順で, 尿pH上昇, 滴定酸下降, NH4+上昇の作用が強い. P. mirabilis では5時間 incubation でも強い変化が起き, 感染尿の測定には充分な注意が必要である.

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