前立腺におよぶ原発性膀胱上皮内癌

書誌事項

タイトル別名
  • PRIMARY CARCINOMA IN SITU OF THE URINARY BLADDER WITH PROSTATIC INVOLVEMENT
  • ゼンリツセン ニ オヨブ ゲンパツセイ ボウコウ ジョウヒナイ ガン

この論文をさがす

説明

膀胱の原発性上皮内癌の1例を報告する. 症例は63歳, 男性. 1978年1月, 頻尿と排尿困難を主訴として来院. 顕微鏡的血尿を認めるが, X線検査上異常なく, 内視鏡検査にても左側壁に発赤を認めるのみであつた. 尿細胞診陽性のため, 膀胱の経尿道的生検を施行, 組織所見は上皮剥落, 粘膜下の浮腫・血管拡張および細胞浸潤が強く, 慢性膀胱炎と診断された. その後も尿細胞診陽性であつたため, 4カ月後改めて経尿道的膀胱生検施行. 上皮内癌との診断を得たため, 1978年7月12日膀胱全摘除・回腸導管造設術を施行した.<br>摘除した膀胱の組織学的検索では, 膀胱ほぼ全周に拡がる上皮内癌が確かめられた. 上皮内癌は前立腺部尿道にも及ぶとともに, 一部の前立腺導管と前立腺々組織の上皮細胞も移行上皮癌に置換され, ある部位では前立腺間質への浸潤がみられた. この浸潤は, 前立腺々組織の基底膜を介してのものであり, 膀胱粘膜からの連続性はみられなかつた.<br>膀胱の上皮内癌に関する文献的考察の結果, 本例の如き上皮内癌は, 肉眼的に認めうる腫瘍に随伴する上皮内癌とは異なつた範畴に入れられるべきものと考え, 原発性上皮内癌と称することを提唱する. 原発性上皮内癌は膀胱基底膜に浸潤を来す以前に, 前立腺導管を介して前立腺に浸潤する傾向がつよく, stage O から stage D への飛躍的進展を示す腫瘍として特性づけられるものと考える.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ