VURの臨床的検討

書誌事項

タイトル別名
  • CLINICAL STUDIES ON VESICOURETERAL REFLUK
  • “Missing VUR”検索の意義
  • Significance of Detection of “Missing VUR”

抄録

尿路感染症などの臨床症状を伴い, 画像上も上部尿路の変形を認めるにもかかわらず, 通常の排尿時造影ではVURが見られない症例に対し, cholinergic drug であるベサネコールクロライドの利尿筋緊張亢進作用に着目して本剤投与下での排尿時造影を施行した. その結果, 通常の排尿時造影で両側ともにVURのなかった5例6尿管と片側性VUR2症例の対側尿管に Grade IIa-IIIのVURを証明しえた. これらに対する治療方針は, 通常のVURに準じて決定した. すなわち膀胱内圧検査上, 無抑制収縮を認めた5例のうち4例は抗コリン剤および抗菌剤投与による保存的治療とし, 1例は膀胱憩室内に尿管口が開口していたことから逆流防止術を施行した. また, 無抑制収縮のみられなかった2例に対しては手術療法を選択した. いずれも治療効果は良好で現在に至っている.<br>本法を施行するようになった昭和57年以降, 片側性VUR術後の対側へのVUR発生はみられておらず, 術前に対側の尿管膀胱移行部の脆弱性を評価し, 対側に対する予防的逆流防止術の適応を決定する上でも本法が有効な指標の一つになりうると考えられた.<br>さらにベサネコールクロライドの負荷を, RIを用いた排尿時造影に用いることによって, 放射線被曝線量を減少させ, かつVURの診断率を上げることができるのではないかと考えられた.

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