膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法における宿主免疫応答の賦活化に関する研究

DOI Web Site PubMed オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • STUDIES ON STIMULATION OF IMMUNOLOGICAL RESPONSES RESULTING FROM INTRAVESICAL BCG INSTILLATION IN PATIENTS WITH BLADDER CARCINOMAS

この論文をさがす

説明

膀胱腫瘍に対する bacillus Calmette-Guerin (BCG) の膀胱内注入が, 全身における免疫応答の賦活化を惹起するか否か, PPD皮膚反応, natural killer (NK) 活性, antigen-dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC), および各種リンパ球 subset の分布に与える影響と共に, 局所における組織学的変化について検討した. 35症例のBCG膀胱内注入療法施行患者において, BCG注入前にPPD皮膚反応が陰性であった16例中14例が陽転した. NK活性は, 14/35症例 (40.0%) に, ADCC活性は20/35症例 (57.1%) においてBCG膀胱内注入施行後活性の亢進が認められた. またリンパ球 subset でもLeu7が12/35症例 (34.3%) に, Leu11は14/35症例 (40%) で, BCG膀胱内注入に伴う増加が示された. 一方局所における形態学的変化としては膀胱粘膜下での炎症性細胞浸潤を伴う慢性炎症性所見が主体であり, 抗Leu7抗体を用いた免疫組織染色では, 7/35例 (20%) にのみ陽性所見が得られその分布も優位なものではなかった. また抗BCG抗体による同様の染色では膀胱粘膜あるいは粘膜下に明白な陽性染色所見は得られなかった. 以上の結果は, 膀胱腫瘍に対するBCG膀胱内注入の抗腫瘍効果発現機序として, 宿主の全身的免疫応答を活性化すると共に, 局所での炎症性変化を惹起し, 膀胱粘膜全体の剥離, 脱落さらには表在性腫瘍の消失を結果として生ずるものと考えられた.

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ