症例 エルゴノビン負荷試験で右冠動脈右室枝のみの攣縮が誘発された異型狭心症の1例

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タイトル別名
  • A case of variant angina provoked right ventricular branch artery spasm by intracoronary ergonovine maleate injection

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説明

右冠動脈内エルゴノビン投与で,右室枝単独攣縮による冠攣縮性狭心症を経験したので報告する.症例は75歳男性.夜間から早朝にかけ前胸部不快感が出現したため,当院外来受診.外来でのホルター心電図上,有症候性の一過性ST上昇を認め,冠攣縮性狭心症を強く疑い,心臓カテーテル検査を行った.コントロール造影では,左右冠動脈に器質的狭窄を認めなかったため,エルゴノビン冠動脈内投与による冠攣縮誘発試験を施行した.右冠動脈内エルゴノビン投与で,本幹には異常なく,右室枝のみに攣縮が誘発され,胸痛の出現とともに前胸部誘導(V1~3)のST上昇,血圧の低下を認めた. ISDN冠注により冠攣縮が解除され,右冠動脈右室枝攣縮による冠攣縮性狭心症と診断した.攣縮は冠動脈のどの部位にも起こりうるが,エルゴノビン負荷試験で分枝のみに攣縮が誘発された症例の報告はまれと思われ,また分枝のみの攣縮は冠動脈造影検査では比較的見落としやすい部位でもあり,今後本例のような症例の存在も念頭に置く必要があると思われる.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 33 (5), 415-419, 2001

    Japan Heart Foundation

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