症例 左右冠攣縮を交互に繰り返し起こしたPrinzmetal型異型狭心症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Alternate left and right coronary spasm in a case of Prinzmetal angina pectoris

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説明

症例は58歳,男性.ニトログリセリン舌下頓用にて寛解する前胸部V1~4誘導でのST上昇発作の精査加療目的にて入院.冠動脈造影(CAG)施行時に自然発作が出現したが,心電図所見は入院時とは異なりII,III,aVF誘導でR波増高を伴うST上昇を認め,約1分程度で自然寛解した.そして,その数分後には入院時と同様の前胸部V1~4誘導でのST上昇発作を認め,この際II,III,aVF誘導では逆にSTは下降した.このような胸痛を伴う下壁と前壁領域のST上昇が数分間隔で交互に計6回生じた.6回目の発作時にはV1~4誘導でST上昇を認め,その際のCAGでは左前下行枝#7の亜完全閉塞と造影遅延を認めた.これはニトログリセリン冠動脈内注入にて寛解したが,同部に75%の器質的狭窄を認めた.右冠動脈の攣縮は造影上確認できなかったが,#2に90%の器質的狭窄を認めたことから,同部に攣縮が生じII,III,aVF誘導でのST上昇が生じたものと考えられた.両病変に対しステントを留置し,薬物療法を併用したところ良好に経過した.<BR>左右冠動脈の攣縮を連続性に,交互に6回にわたり繰り返し生じた例は,多枝攣縮の中でも極めてまれと思われ報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 34 (7), 555-560, 2002

    Japan Heart Foundation

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