症例 硫酸マグネシウムが有効であった薬剤起因性torsadede pointes(Tdp)の2例

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タイトル別名
  • Two cases of drug-induced torsade de pointes successfully treated with intravenous magnesium sulfate administration

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説明

硫酸マグネシウム(MgSO4)静注が有効であった薬剤起因性torsadedepointes(Tdp)の2例を経験した.第1例は,79歳女性,WPW症候群による上室頻拍が持続し,うっ血性心不全を併発して入院した.上室頻拍は心房細動に移行し,プロカインアミド1g,ベラバミル240mgの投与により房室接合部調律となったが,QT間隔は0.60秒に延長し・Tdpが頻回に出現した.薬剤起因性Tdpと診断し,MgSO42.47gを静注した.QT間隔は短縮しなかったが,投与直後からTdpは再発しなくなった.第2例は,71歳男性,心房細動のためジソピラミド300mgの投与を受けていたが,高血圧性心臓病で心不全症状を示して入院した。ジゴキシン投与後,洞調律となり,QT聞隔が0.56秒に延長し,多形性心室頻拍と単形性持続性心室頻拍が出現した.QT間隔の延長と心室頻拍出現様式から,薬剤起因性Tdpと診断し,MgSO42.47gを静注した.投与後,多形性心室頻拍,単形性持続性心室頻拍とも再発はなかった.薬剤起因性Tdpの治療は,原因薬剤を直ちに中止し,心臓ペーシングまたはイソプロテレノールにより心拍数を増加させ,QT間隔を短縮させることであるが,MgがTdpに有効であるとの報告がある.著者らは,2例の薬剤起因性TdpにMgSO4を投与し,投与直後からTdpの再発を抑制でき,副作用も全く認めず,MgSO4は,薬剤起因性Tdpの治療に有効かつ安全な治療剤であると考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 22 (6), 724-728, 1990

    Japan Heart Foundation

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