症例 左上大静脈遺残を合併した洞不全症候群の2例

書誌事項

タイトル別名
  • Two cases of sick sinus syndrome associated with persistent left superior vena cava

この論文をさがす

説明

左上大静脈遺残(PLSVC)は比較的多い静脈奇形であるが,単独髭症では無症状であるため,ペースメーカーカテーテル挿入時などにカテーテル走行異常で発見されることがある.<BR>今回我々は,ペースメーカー挿入時に2例のPLSVC患者に遭遇したので報告する.症例は,いずれもめまいを主訴とした50歳と61歳の女性で,心電図,His束心電図により洞不全症候群(sss)と診断された.両者とも左鎖骨下静脈よりペースメーカーカテーテル挿入を試みたところ,カテーテル走行異常を認めたため,術中静脈造影を施行し,PLSVCの合併を認めた.症例1は左右上大静脈の形態をとり,左上大静脈から冠状静脈洞を介して右房へペースメーカーカテーテル挿入を行った.症例2は右上大静脈欠損も認められ,左上大静脈も来発達なため,心筋電極の挿入が必要であった.SSSの原因は不明であるが,PLSVCにおいて刺激伝導系の障害,不整脈の出現,洞結節の低形成,洞機能不全,異所性心房リズムの出現などの合併が報告されており,PLSVCがSSSの一因ともなりうる.PLSVCを合併したSSSへのペースメーカー挿入の報告は本邦で4例にすぎない.我々の経験した2症例は,同様の合併症を有する患者へのペースメーカー挿入法の検討と,SSSの成因に示唆を与える興味深い症例と考え,文献的考察を加え報告した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 22 (2), 175-179, 1990

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ