第39回理論心電図研究会 In silico cardiology

  • 芦原 貴司
    滋賀医科大学呼吸循環器内科 京都大学大学院医学研究科細胞機能制御学 米国Tulane大学医用生体工学部
  • 八尾 武憲
    滋賀医科大学呼吸循環器内科
  • 小澤 友哉
    滋賀医科大学呼吸循環器内科
  • 伊藤 誠
    滋賀医科大学呼吸循環器内科
  • 堀江 稔
    滋賀医科大学呼吸循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • In silico cardiology

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説明

In silico cardiologyとは,高度な情報処理技術に基づきコンピュータ上に構築された統合的解析システムにより,自然科学的かつ論理的な思考で循環器病学を探求することを意味する.In silicoでは循環器病学を臨床や動物実験とは異なる視点で捉え,議論することができる.なかでもコンピュータ心臓電気生理学の歴史は古く,それがIn silico研究全体を牽引してきた.コンピュータ心臓電気生理学で用いる心筋モデルは,その構築方法からモノドメインモデルとバイドメインモデルに大別される.モノドメインモデルは頻脈性不整脈の成因であるスパイラル・リエントリーの興奮伝播解析や薬効評価によく用いられ,バイドメインモデルはペーシングや電気ショックのシミュレーションに適している.いずれのモデルでも三次元シミュレーションは非常に有用であり,可視化技術を組み合わせることで,臨床や動物実験では決して見ることのできなかった心筋深部の電気現象を詳しく知ることができる.モデル選びや妥当性検証などの重要なプロセスに具体的な基準がないなど, 現状では残された課題も多いが, 電気生理学以外の領域の研究も含めてIn silico rdiologyが完成すれば,医療費削減,診断・治療データベース,創薬,テーラーメイド医療,遺伝子治療,再生医療,医療機器などへの幅広い応用が期待される.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 37 (6), 502-509, 2005

    Japan Heart Foundation

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