HEART's Original [臨床研究] ヨード造影剤による腎障害に対するN-アセチルシステインの経口投与の有効性

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of N-acetylcysteine after oral administration on nephropathy induced by an iodinated contrast medium

この論文をさがす

抄録

石心会狭山病院循環器科でのカルテ調査から,造影剤を用いた心カテーテル検査および経皮的冠動脈形成術(PTCA)で発症する腎障害に対するN-アセチルシステイン(ムコフィリン(R))の経口投与の有効性について評価した.<BR>2004年の1年間のカルテ調査(1,128名)から,中程度に腎機能が低下した患者(血清クレアチニン値1.2~30mg/dL)で臨床検査データが既知の患者を抽出した結果,ムコフィリン(R)投与群24名,ムコフィリン(R)未投与群(コントロール群)29名であった.腎機能にかかわる検査データ,造影剤腎症の発症率,入院期間などから評価した結果,ムコフィリン(R)投与群の患者のほうが,造影剤投与による腎障害を予防できることが示唆された.リスク疾患別に評価すると,症例数が少なかったが糖尿病および,糖尿病と高血圧を併発している患者でムコフィリン(R)の効果が高かった.また,造影剤腎症の独立予測因子である年齢について評価すると,70歳以上の高齢患者でもムコフィリン(R)の経口投与は有効であった.<BR>以上の結果より,造影剤を用いた心カテーテル検査およびPTCAにおいて,ムコフィリン(R)の経口投与は中程度の腎機能の低下を有する患者に対して有効であると考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 38 (9), 915-923, 2006

    Japan Heart Foundation

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ