複雑性尿路感染症に対する抗菌化学療法剤の投与期間に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • A STUDY ON THE TREATMENT DURATION OF AN ANTIBACTERIAL AGENT IN COMPLICATED URINARY TRACT INFECTIONS
  • UTILITY AND RECURRENCE AFTER 14-DAY TREATMENT BY FLEROXACIN
  • Fleroxacin 2 週間投与の有用性と休薬後の再発について

抄録

カテーテル非留置の複雑性尿路感染症の外来患者102例を対象に, 経口抗菌薬の至適投与期間を検討する目的で, 新規キノロン系合成抗菌剤であるFleroxacin (FLRX) を原則として14日間経口投与し, 5~7日目と14日目の効果を比較検討すると共に, 休薬後の再発の有無についても検討した。<BR>FLRXは1日1回300mg投与とし, 臨床効果の判定はUTI薬効評価基準 (第3版) に準拠して行つた。その結果, 以下の成績を得た。<BR>1. 総合臨床効果は5~7日目86%, 14日目84%の有効率であつた。5~7日目と14日目を比べると, 14日目で細菌尿については菌交代が増加するが, 膿尿については正常化が増加した。<BR>2. 細菌学的効果は5~7日目91%, 14日目89%の除菌率であつた。3.主治医による臨床効果は, 5~7日目86%, 14日目88%の有効率であった。<BR>4.副作用は9.1%にみられたが, 消化器症状が主であり, 5日目以降の発現はなかった.臨床検査値の異常変動は2.3%にみられたが, いずれも軽度且つ一過性であった。<BR>5.膿尿と細菌尿を指標とした再発判定1では, 「再発なし」が休薬後1週目63%, 2週目54%, 3週目61%, 4~6週目81%であり, 「再発あり」はそれぞれ4%, 4%, 6%, 5%であり, 「再発疑い」はそれぞれ33%, 42%, 33%, 14%であった.「再発疑い」と判定されたものについては, 全般的に膿尿悪化例は少なく, 細菌尿だけ悪化という状態であった。<BR>6.細菌尿だけを指標とした再発判定2では, 休薬後4~6週目に「治癒」と判定されたもの67%, 「再発」とされたもの33%で, 出現菌からみると再燃よりも再感染が多かった.<BR>以上の成績から, カテーテル非留置の複雑性尿路感染症ではFLRXの14日間投与により十分な除菌, 臨床効果が得られるが, その効果は7日目前後ですでに明確となつていた。更に, 14日間の投与終了後菌陰性化の得られたもののうち, 1力月を経過した時点で30%程度の症例で103CFU/ml以上の細菌尿が再出現したが, 膿尿を伴うものはごく一部であり, 真の再発は全般に少なかった。又, 14日間投与によつて5日間投与に比べ副作用が増加することはなく, 本剤の安全性は高いものと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680471148800
  • NII論文ID
    130004395231
  • DOI
    10.11553/antibiotics1968b.44.718
  • COI
    1:STN:280:DyaK3MzlvFCjug%3D%3D
  • ISSN
    21865477
    03682781
  • PubMed
    1909383
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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