PPI長期内服により消失した難治性声帯白板症の1例

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タイトル別名
  • A case of pertinacious laryngeal leukoplakia improved completely by long-term PPI therapy.

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説明

最近、胃食道逆流症 (GERD) が声帯白板症や喉頭・咽頭の扁平上皮癌の誘因もしくは増悪因子になり得ることが報告されてきている。声帯白板症は、再発を繰り返すこと、細胞異型を伴う場合には癌化の懸念があることから臨床上注意を要する病態である。今回、われわれは再発を繰り返した非喫煙者の声帯白板症 (mild-severedysplasia) の1例を経験した。本症例では、問診で胸焼けなどのGERDに典型的症状は認めなかったが、両側声帯の白板病変のほかに披裂部粘膜の発赤・腫脹、披裂間部粘膜の肥厚、声門上部粘膜の血管拡張像を認めたことから、GERDとの関連を疑いプロトンポンプ阻害剤 (lansoprazole 30mg/day) の投与を行った。プロトンポンプ阻害剤内服開始3カ月後頃から徐々に白板の軽減を認め、16カ月後には白板は消失した。その後、プロトンポンプ阻害剤を半量 (lansoprazole 15mg/day) とし、8カ月間経過観察しているが、再発を認めない。再発を繰り返す声帯白板症の中にはGERDの関与するものが含まれていること、またその改善には長期間のGERDに対する治療が必要なことが示唆された。

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