神経鞘腫によるCollet-Sicard症候群の1例

  • 長山 郁生
    Department of Otorhinolaryngology, School of Medicine, Kanazawa University
  • 伊藤 真人
    Department of Otorhinolaryngology, School of Medicine, Kanazawa University
  • 古川 仭
    Department of Otorhinolaryngology, School of Medicine, Kanazawa University

書誌事項

タイトル別名
  • A case of Collet-Sicard syndrome

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説明

Collet-Sicard症候群をきたした54歳, 女性の1例について報告した. 嗄声を初発症状とし, 咳, 痰, 右肩筋力の低下と順に症状が発現した. 画像診断によつて頸静脈孔直下に生じた腫瘍と判明し耳下腺経由にて摘出することができた. 病理検査によりAntoni A型の神経鞘腫と判明したが, 症状経過からみて, 迷走神経由来のものと考えられた. Collet-Sicard症候群は本邦においてはこれまで約30例の報告があり, 今回さらに17例を渉猟することができた. 頸静脈孔に生じた神経鞘腫は頭蓋内に進展することが多く, 頭蓋外に発育することは少なく, Collet-Sicard症候群をきたすことは, きわめてまれである. 摘出後に舌下神経麻痺に改善がみられ, カーテン徴候も消失した. 通常術後に症状の改善がみられることはない場合が多く, 本例のごとく改善のみられる場合はまれである.

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