鼓室内に限局した炎症性偽腫瘍の症例
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- 賀数 康弘
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
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- 中川 尚志
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
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- 柴田 修明
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
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- 白土 秀樹
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
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- 瓜生 英興
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
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- 小宗 静男
- Department of Otorhinolaryngology, Faculty of Medicine, Kyushu University
書誌事項
- タイトル別名
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- A case of an inflammatory pseudotumor restricted to the tympanic space
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説明
炎症性偽腫瘍 (inflammatory pseudotumor: IPT) は、腫瘍増殖を示す占拠性病変でありながら、病理組織学的には炎症性肉芽として診断され、新生物としての所見がみられないものを指す。肺や肝臓など全身での報告があり、頭頸部領域では眼窩、副鼻腔などでの報告はみられるものの、側頭骨のIPTは極めてまれである。今回われわれは中耳に限局したIPT症例を経験した。症例は27歳の男性。左鼓膜に透見された鼓室内赤色腫瘤の精査加療目的で当科受診となった。全身検索では炎症所見や異常所見は認められなかった。側頭骨CTで、鼓室洞に充満する軟部組織陰影が認められ、側頭骨MRではT1強調画像でやや高信号、T2強調画像で低信号、Gd造影で不均一に造影される腫瘍性病変が認められた。摘出術目的で経外耳道の鼓室開放と乳突洞経由のposterior tympanotomyを行った。鼓室洞に血管の乏しい白色被膜に覆われた腫瘍性病変が認められ、これを剥離操作で全摘した。病理では線維芽細胞の増生を伴った形質細胞やリンパ球などの炎症細胞浸潤が著明な炎症性肉芽との診断で、臨床上の所見とを考え合わせてIPTと診断した。
収録刊行物
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- 耳鼻と臨床
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耳鼻と臨床 51 (5), 330-335, 2005
JIBI TO RINSHO KAI
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680477915008
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- NII論文ID
- 130004404957
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- ISSN
- 04477227
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可