チンチラ (<I>Chinchilla laniger</I>) 鋤鼻器の微細構造

書誌事項

タイトル別名
  • Fine Structure of the Vomeronasal Organ in the Chinchilla (<I>Chinchilla laniger</I>)
  • チンチラ(Chinchilla laniger)鋤鼻器の微細構造〔英文〕
  • チンチラ Chinchilla laniger ジョビキ ノ ビサイ コウゾウ
  • Fine structure of the vomeronasal organ in the chinchilla (Chinchilla laniger)

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抄録

げっ歯目の一種であるチンチラの鋤鼻器の微細構造を比較解剖学的観点から検索した。チンチラの鋤鼻器は鼻中隔基部に横たわる全長約6mmの一対の管状構造であった。その吻側部は鋤鼻軟骨に, 尾側部は骨性被嚢に被われ, 吻側端では小孔によって鼻腔に開口し, 尾側では盲端に終わっている。鋤鼻器の管腔は三日月状ないし楕円状を呈し, 内側壁は感覚細胞, 支持細胞, 基底細胞より成る感覚上皮で被われていた。一方, 外側壁を覆う呼吸上皮は多列線毛上皮であった。ヤコプソン腺は管状胞状腺であり, 鋤鼻器の背外側部から腹外側部に分布し, 感覚上皮と呼吸上皮の移行部で鋤鼻器管腔内に開口していた。その分泌物はPAS陽性, アルシアンプルー陰性であった。感覚上皮の各構成細胞の微細構造は, 他の動物種で従来報告された所見とほぼ同様であったが, 支持細胞では, 大型のdense bodyが核周囲細胞質内に多数認められた。呼吸上皮は, 線毛細胞, 非線毛細胞および基底細胞から構成されていた。ヤコプソン腺の腺細胞には細胞質内に直径1, 700nm前後の低電子密度の分泌顆粒を持つ細胞と, 電子密度が様々に異なる直径2, 200nm前後の分泌顆粒を有する細胞の2種類が観察された。本研究の所見は, チンチラの鋤鼻器が活発な機能を営んでいることを示唆していた。

収録刊行物

  • Experimental Animals

    Experimental Animals 43 (4), 487-497, 1994

    公益社団法人 日本実験動物学会

被引用文献 (4)*注記

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