絨毛性性腺刺激ホルモンに対する近交系マウスの感受性について

書誌事項

タイトル別名
  • Susceptiblity of the Reproductive Organs to Human Chorionic Gonadotropin in Various Strains of Mice
  • ジュウモウセイセイセン シゲキ ホルモン ニ タイスル キンコウケイ マウス ノ カンジュセイ ニ ツイテ

この論文をさがす

説明

絨毛性性腺刺激ホルモン (HCGと略) に対する生殖器の反応性を制御する生体側の要因を検討する目的で, AA, DDK, RR, NC, SS, CFW, C57BL/6, C3H/He, CF#1およびddの10系統の生後21日令の雌マウスについて, 腟開口反応, 卵巣の出血濾胞, 黄体形成反応, 卵巣および子宮重量を測定し, 次の結果をえた。<BR>(1) 注射前後における体重について, マウス系統間で有意差が得られたが, 用量間では有意差が得られなかった。 (2) 注射前における腟開口率はマウス系統によって異なり, C3H/He, RR, CFWは陽性, 他の7系統マウスは陰性であった。注射では生理食塩液に対し, DDKを除く9系統マウスとも反応陽性を示した。系統内用量間では生理食塩液とHCG用量問で有意差が得られたが, HCG用量間では有意差が得られなかった。 (3) 卵巣の出血濾胞, 黄体形成反応はマウス系統問, HCG用量間で有意差が得られ, マウス系統間ではAAとDDK, CF#1, C3H/He, NC, C57BL/6の間に有意差が得られた。HCG用量間では3.0: 6.0I.U.の関係を除く他の用量間で有意差が得られた。 (4) 卵巣重量反応はマウス系統間, HCG用量間で有意差が得られ, マウス系統間の差異はHCG用量に対する差異よりも大きかった。HCG用量間では3.0: 6.0I. Uの関係を除く他の用量間で有意差が得られた。 (5) 子宮重量反応はマウス系統間, HCG用量間ともに有意差が得られ, マウス系統間の分散比に対して, HCG用量間の分散比は大きかった。HCG用量間では1.5: 3.0I. Uの関係を除く他の用量間で有意差が得られた。 (6) 各系統マウスにおける腟開口率, 卵巣および子宮重量の差異は系統マウスの体重によって規制されず, 各系統マウスの体重と出血濾胞・黄体形成反応ならびに卵巣および子宮重量増加率の間に一定の関係はみられなかった。 (7) 各系統マウスの卵巣および子宮重量と, その増加率の間に一定の関係はみられなかった。 (8) ddは他の9系統マウスに比較して, 腹間変動が大きく, 腹間による反応性の不均一性がみられた。 (9) HCGに対する子宮重量反応の回帰は1次回帰で有意差を示し, 系統間変動の分散比は系統内の分散比に対して, 大きいことがみられた。回帰係数について, DDK, RR, NCは有意性を示さず, C3H/He, CFWは1次, 2次, CF#1は1次, 3次回帰係数が有意となった。1次回帰で有意性のみられたAA>C57BL/6>SS>ddについて, AA: SS, AA: ddの関係において有意差が得られた。

収録刊行物

  • 実験動物

    実験動物 21 (4), 211-221, 1972

    公益社団法人 日本実験動物学会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ